今回は溢流性尿失禁についてお話しいたします。
この状態は、何らかの事情で尿が排出できなくなり、膀胱内にたまった尿が溢れ出す形で失禁を起こすものです。男性の場合は前立腺肥大などの尿路通過障害で起こる場合がありますが、女性の場合は糖尿病や急性期の脳梗塞、脊髄損傷等によって起こります。
ほとんどの場合、尿意はそれ程強くなく、いつ出たかもわからない状態で失禁が起こります。内服薬での改善は難しく、残尿量が多い場合は管(カテーテル)を尿道に挿入し排尿を補助する必要があります。
またその他の失禁として、認知症に伴うものもあります。この場合、残尿などは無く、膀胱機能にも問題は無いのですが、トイレで排尿しなくてはいけないという認識が薄いために起こるものです。乳幼児と同じ状態で、対処法としてはオムツを使用したり、定期的にトイレに誘導し排尿させて対応します。睡眠中に発生する失禁は夜尿症として治療しますが、多くの場合は小児期に消失します。持続し続ける場合は排尿機能障害の可能性もあい、検査が必要です。